ユニセフの歴史と活動
ユニセフは世界中のすべての子どもの命と権利を守るために活動する国際的な機関で、貧しい国や戦争が起こっている国などどんな国に生まれても持って生まれた可能性を十分の伸ばすことができるよう支援を行っています。
世界の中でも支援の行き届きにくい国も子どもたちから優先的に、約190か国の国と地域で、保健、栄養、水、衛生、教育の支援を行ったり、暴力や搾取を受けている子供の保護をしたりするのですが、その資金は国連からの支援ではなく、個人や団体からの募金や各国政府の任意拠出金などから調達します。
1945年に国際連合が成立し、翌年の12月に国連国際児童緊急基金「UNICEF」が創設され、まずはアメリカが粉ミルクや肉類、油、衣類などの支援物質を欧州に送り、12か国400万人の子どもたちがその恩恵を受けました。
日本では1948年に同様の活動を開始し1955年には財団法人「日本ユニセフ協会」が設立され、日本全国700町村の母子衛生組織にミルクが届けたり、伊勢湾台風の時には被災母子に毛布を4万枚配布するなどの援助を行っています。
その間世界のユニセフに対して廃止運動が起こりましたが、「途上国の子どもたちの長期的ニーズに応える活動を最優先」するということで廃止期間を延長しましたが結局国連総会で満場一致で存続が可決されるということもありました。
それでも日本に15年間、総額65億円の援助があり、それは1964年の東京オリンピックの年まで続きました。
日本の協会が国内委員会として正式に承認される
1970年には日本の協会が国内委員会として正式に承認され、その後10年の間に不参加の学校がゼロになるほど学校での募金が行われ、その総額は1億8000万円に上りました。
それから黒柳徹子さんやアグネスチャンさんなどが大使に任命されたことで「ユニセフ」がさらに知られるようになり現在まで多額の募金を集め、途上国の子どもたちに支援活動を行い続けています。
本部はニューヨークにあり、国内委員会と接渉などを行うジュネーブ事務所、支援物質の補完や振り分けを行うコペンハーゲンの仏子供給センター、子どもたちの状況を把握するフィレンツェの研究所、EUへの働きかけをするブリュッセル事務所、そして日本政府など政府系パートナーと本部をつなぐ窓口となる東京事務所を置き、それらが一つの組織となって支援活動をしています。
また中東ヨーロッパやアフリカなど世界7か国に地域事務所を置き、専門スタッフが現地のスタッフや政府の人たちに技術を教えたり、モニタリングや腸さ、能力育成のための研修などが行われます。
支援活動は世界中の子どもたちが健康に成長し、教育を受けられるなどの権利を受けられるようにすることですが、幼いうちに命を失ってしまう子供がたくさんいる地域では、安全な水の確保し石鹸で手を洗えるように働きかけたり、ワクチンの接種を受けられるようにしたり、
健康に育つためバランスの取れた栄養を摂取できるように食べ物の供給を行ったり、エイズに感染しないような性教育を行ったり、小学校に通えない子どもたちが学校に通えるように支援するなど、子どもが本来受けるべき権利が世界中のどこに生まれても受けられるような支援活動を募金や支援金の中で行っています。
全世界で広報活動やキャンペーン活動を行う
ユニセフは国連人権委員会が手掛ける「子どもの権利条約」の草案作りに参加し、全世界で広報活動やキャンペーン活動も行いました。
そしてこの条約の内容を実施するための助言や検討など専門的な役割をする国際的な機関で、1989年に子どもの権利条約が採択されて以来は5歳未満に死亡する子どもの数が減少するという効果を上げています。
しかしまだこの条約の恩恵を受けられない子どももたくさんいるのでそれが今後の課題となるのです。
「子どもの権利条約」は生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つの権利を世界中のどの子供たちにも受けることができるようにするための条約です。
そのため「子どもの売買や売春・児童ポルノに関すること」「武力闘争への子どもの関与に関すること」「通報手続きに関すること」の3つが選択議定書として作られています。
そしてこれらを実現するにあたり子どもの基本的人権の原則を重視し、人種や民族、心身の障害などによって差別されることなく、子どもの最善の利益を第一に考え、衛生管理や栄養、水、教育など生きていくための基礎的なサービスを確保し、子供の年齢や成熟度に応じた子供の意見を尊重することを考慮し、子どものライフサイクルに合わせてアプローチをします。
たとえば乳児期は人生のスタートで持って生まれた1000億個の脳細胞を相互のネットワークをもって発達させることができるよう考えたり話したりする基礎を築きます。
学齢期には過酷な労働や子ども兵士などを強いられることなく基礎学力や健康や衛生についての知識、人間としての価値観を身に付ける教育を受けられるように支援するなどの活動が行われているのです。
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最終更新日 2025年7月20日 by furiwa